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実は、私はウォーレン・バフェット流の投資を目指していながら、彼の代表的な以下の言葉を本当の意味で理解できないでいました。
株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限りそれを持ち続けること。これに尽きます
同じ銘柄を持ち続ける意味はあるか?
「いい銘柄を見つける」「いいタイミングで買う」までは理解できました。しかし、「いい会社である限りそれを持ち続ける」という点については、どうにも腑に落ちていなかったのです。
バフェットの師であるグレアムのバリュー投資は、「本質的な価値よりも割安な価格で買い、割高になったら売る」ことを基本原則としています。本質的な価値以上に上昇することは前提としていないため、「持ち続ける」ことは理に適っていないように思えたからです。
持ち続けることで事業環境の変化などさまざまな困難が待ち受けます。それが会社の事業にとって致命的なことであれば、いくらいい銘柄でも本質的な価値の低下は避けられないからです。
もちろん、そうならないようにバフェットは「経済の堀」を持つ企業のみを「永久保有銘柄」としているのですが、そのような企業もいつまでも成長し続けることはなく、いくら安定していても株価が上昇しなければ意味がないと思っていました。
「益回り」で考えると、バフェットの投資が見えてくる
しかし、改めてバフェットが経営するバークシャー・ハサウェイの年次報告書を読んでいるうちに、バフェットの根本的な考え方の違いに気付かされました。結論から言うと「バフェットは株価をほとんど気にしていない」のです。
年次報告書にあるバークシャーの株主に宛てた「Owner’s Manual」には以下のようなことが書かれています。
私たちの長期的な経済目標は、バークシャーの本来のビジネス価値における年間利益率を1株あたりで最大化することです
年次報告書のどこを見ても、株を売買して利幅を取ろうという話はどこにも書いてありません。ただひたすら「いいビジネスを適正な価格で買う」ことに焦点が当てられています。見るべきは株価ではなく、1株あたり利益や、利益の蓄積によってできた純資産だと言います。
株価を気にせずに、保有する株式がどれだけの利益を生み出すかを考える姿勢は、まさに事業オーナーそのものです。先日投稿した記事では、「純利益はオーナーのもの」と指摘しましたが、バフェットの考えも不動産投資に近いのではないかと思います。
上記の記事にもある通り、純利益をオーナーの利益だと考えると、純利益の金額が安定しているとしてPER10倍の株式の利回り(益回り)は10%となります。益回りはPERの逆数であり、PER20倍なら5%です。
PER10倍というと、比較的割安という感覚があります。利回り10%の金融商品はそうそう見つかるものではないことを考えると、その感覚に間違いはないでしょう。
問題は、この純利益がどう使われるかです。本質的にはオーナーである株主のものですが、その処分方法は経営者に任されています。一部は配当として株主に還元されますが、残りは原則として次の成長のための投資に回されます。
その投資がうまくいけば、将来的に利益はさらに増えるでしょう。PER10倍で買った株式の利益が2倍になれば、購入価格に対する益回りは20%です。当然株価も上昇するでしょうし、増えた利益をさらに再投資に回すことができます。
もし、それ以上利益が成長しなかったとしても、年率20%の利回りが得られる金融商品など、今どき見つかるものではありません。そう考えると、事業が安定している限り「持ち続ける」ことが資産を増やし続けることに繋がることが分かります。
コカ・コーラは48%の配当利回りを生む現金製造機
この考え方で重要なのは、高い「益回り」が見込める割安な価格で購入することです。逆に、いくらいい企業であっても、割高な価格で買ってしまえば、平凡な益回りになってしまいます。
バフェットの代表的な「永久保有銘柄」であるコカ・コーラは、購入単価から現在の時価まで14倍となっていますが、これだけの差が生まれるのは割安な時に集中的に買っているからです。そして、そのまま「高い益回り」を享受しているのです。
しかし、それでも同社の最近の業績は停滞しています。EPSはこの5年で32%も減少しているのです。バフェットはそのような株をなぜ持ち続けているのでしょうか。
本当の答えは本人に聞いてみなければわかりませんが、その1つは配当であるように思います。バークシャーの取得単価で計算したコカ・コーラの配当利回りは48%と計算できます!(取得金額1,299百万ドル、年間配当総額624百万ドル)
コカ・コーラは近年成長していない分、配当を増やしています。その金額は純利益のほぼ全額に近く、時には純利益以上の金額を配当することもあります。
この行動は、株主にとってとてもありがたいものです。これまで説明したように、純利益はオーナーである株主のものですから、成長を見込む投資先がないのであれば本来配当すべきです。コカ・コーラはそれを実行できる、素晴らしい企業と言うことができます。
反対に、利益は出しながら配当は渋り、ダラダラと成長の見込めない趣味のような事業に乗り出す経営者も少なくありません。そうでなくても、リスクを恐れて現金を貯め込む経営者も考えものです。
欧米の企業はこの考え方が徹底されていて、実践できる企業が多いように思えます。反対に、日本企業は現金を貯め込むことが多く、株主に十分に報いているとは言えません。だからこそ、永久保有できる日本株はなかなか見つからないのです。
ここまで考えを巡らせて、ようやく「いい会社である限り持ち続ける」の意味がわかってきたような気がします。もちろん、そのような企業は一定の成長力と安定した「経済の堀」が必要であり、簡単に見つけられるものではありません。
もしそれを見つけられたとしたら、将来的には自動的にお金を生むマシーンにすることができるでしょう。私はコカ・コーラに続く永久保有銘柄を探し続けたいと思います。
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