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日本電算(6594)の永守会長と言えば、日本を代表する敏腕経営者です。一代で世界トップクラスのモーター会社を創り上げました。M&A巧者としても知られ、これまでに61社ものM&Aを行い、事業を順調に拡大させています。特に、2012年以降の大きな伸びはM&Aによるところが大きいと言えます。
M&Aの明確な方針と買収価格へのこだわり
永守氏はモーレツ経営者としても有名です。1日16時間働くとも言われ、自ら先頭に立って事務所の便所掃除まで行います。このような理念を社員にも徹底させているのです。
もともとHDD向けなどの小型モーター製造が主力でしたが、今やモーターはスマートフォンをはじめあらゆる電子機器で使用されています。同社のM&Aは拡大するモーター需要に対して製品ラインナップを拡充させ、世界のあらゆる地域で販売することを目的として行われるものです。
世の経営者は、拡大のために明確な目的なくM&Aに走ってしまうことが少なくありませんが、日本電算の方針ははっきりしているため、着実に規模拡大に寄与しているのです。
M&Aのもう一つの成功要因は、高値づかみをしないことです。買いたい会社があったとしても、値段が折り合わなければ買わないことを徹底しています。
M&Aは「勝者の呪い」と言われるほど、高値で買って失敗してしまうことが多いものです。それを避けることが成功要因の一つであることは間違いないでしょう。これは株式投資にも通じるところがあります。
「永守イズム」は数字に表れる
日本電産が得意とするのは、ピカピカの企業の買収ではなく、どちらかと言えば経営不振の会社を買って立て直すことです。このような会社は、買収の競争相手もなく、安く買うことができます。
買収した会社に対し「永守イズム」を導入することで、徹底したコスト削減が図れます。それまで利益が出ていない会社であっても、一定の売上があればコスト削減により利益の創出が可能となります。これを続けることで、日本電産は利益を確保しつつ規模拡大を続けてきたのです。
「永守イズム」が数字となって表れているのが、販売管理費です。日本電産の売上高販売管理費比率は、類似企業よりも明らかに低くなっています。これが「便所掃除まで自ら行う」ことを徹底した結果と言えるでしょう。
しかし、一方で営業利益率は11%と必ずしも高くありません。これは、日本電産の経営方針が高いマージンを取ることではなく、規模拡大を優先しているからだと考えられます。
日本電算の強みとリスク
以上から、日本電産の強みは以下のようなことが挙げられます。
- 徹底したコスト削減(「永守イズム」)
- M&Aを駆使した製品ラインナップの拡充
- M&Aによる地理的拡大
- 割安な価格で買った企業への「永守イズム」の導入
これらはいずれも永守会長による「経営力」に帰結します。これがあったからこそ、一介の中小企業にすぎなかった日本電産が世界的なメーカーに成長できたのです。
そのことは大変素晴らしいことですが、一方でこれからが盤石かと言うと、私はそうではないと考えます。
規模の拡大を優先するがゆえに、技術的には圧倒的なものがないように見えます。技術の専門家ではないので正確な部分はわかりかねますが、利益率等の指標からそのようなことが想像されます。
だとすると、リスクと考えられるのが「ポスト永守」です。圧倒的な技術力がない中で、永守氏が何らかの理由で去ったとしましょう。すると、コスト意識が緩み、これまでは手を出さなかったような価格で企業を買収するかもしれません。
売上高販売管理費比率が、マブチモーター並の16%に上昇したとすると、営業利益率は7%にまで低下します。そこに、例えば中国企業が価格攻勢を仕掛けてきたとすると、あっという間に利益が削られ、シェアを落とす可能性もあるでしょう。
「経営力」に依存している会社には、このようなリスクがあることは忘れてはいけません。永守会長のような経営者は稀有な存在であり、同じような人物が跡を継げるとは考えない方が良いでしょう。
その永守氏も、今年で75歳となります。まだまだお元気そうですが、経営者交代のリスクは常に頭に置いておくべきでしょう。
尋常ではない変化が起きた
そんな稀代の経営者である永守氏が、記者会見で「(2018年)11月、12月になって受注ベースで世界的に全てのセグメントで尋常ではない変化が起きた。46年間経営をやってきて、月単位でこんなに落ち込んだのは初めてだ」と発言しています。
日本電産の納入先は、スマートフォンや自動車関連、産業用機器まで多岐に及んでいます。その中で「全てのセグメント」となると、もはや経済全体のことを指しています。
現場を走り回る敏腕経営者がこう言うのですから、決して無視はできないでしょう。今後の景気の先行き見通しに織り込むべきです。
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