株式投資で使えるMBAの知識(3つの ”C” 編)


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経営戦略を学ぶMBA(Master of Business Administration)では、株式投資に使えるフレームワークがたくさんあります。何だか難しそうですが、やってみたら誰でもできるものばかりです。この記事ではそんな知識をなるべくシンプルにお伝えしたいと思います。

3つの ”C”

3つの ”C” とは ”Company(自社)” “Customer(顧客・市場)” “Competitor(競合)” のことです。企業戦略立案のフレームワークとして、私の師でもある大前研一先生によって提唱されました。

株式投資で分析というと、つい「自社分析」に偏ってしまいがちですが、それだけではこれから将来を見通すことは難しいです。そこで、3つの ”C” を意識して考えることで、これまで見えてこなかったものが見え、一気に視野が広がることがあります。

何を隠そう、私自身がこのフレームワークを使っているので、有用性は保証します。

Company(自社)

その会社が何をやっているのかこれまでの業績や財務状況はどうか、これからの戦略はどうなっているかを確認するためのものです。例えば、キヤノンであれば「オフィス用複合機やカメラを作っている会社で、業績や財務状況は安定。これから成長のため医療事業の拡大を目指している」とまとめることができます。

自社分析の方法ですが、以前投稿したものがあるのでこちらをご覧ください。最もおすすめするのが有価証券報告書です。さくっと調べようと思ったら、会社四季報を使うのがいいでしょう。

企業分析で読むべき資料/読まなくていい資料

2016.02.20

Customer(顧客・市場)

顧客は誰か何を求めているか市場は拡大か縮小かといったことを調べて考えます。キヤノンの例で言うと、「顧客はオフィス(法人)とカメラマン(プロ・アマ両方)。スマホ普及の影響で、デジタルカメラの市場は縮小している」という感じです。

顧客が何を求めているかについては、かなり感覚的なものです。自分が顧客になったつもりで、出来る限り想像力を働かせます。「自分が写真好きならキヤノンのいいカメラは欲しいけど、今はスマホの性能も上がってきてるから、大きなカメラを持ち歩く機会は減るかも」といった感じです。

市場の動向は「デジタルカメラ/市場/推移」などで検索すると割と簡単に調べることができます。また、業界地図でも動向がまとめられており、最新のものを持っているといいと思います。

Competitor(競合)

競合はどこか対象企業のポジション(シェア)はどの程度か、競合とどちらが有利なビジネスをしているかなどを調べます。キヤノンであれば、オフィス用複合機は富士ゼロックスやリコー、デジタルカメラではニコンなどが競合です。

競合がどこかも業界地図を見ればひと目でわかります。更に細かいシェアを調べようと思ったら「デジタルカメラ/シェア」などで検索してみるといいでしょう。競合の調べ方は対象企業を調べた時と同じですが、有価証券報告書を読むのが億劫であれば、会社四季報を見れば概要は分かります。

競合会社について調べていると、対象企業よりも競合のほうがいい会社だと気付くことがよくあります。その時は、狙いを変更してみるのも十分理にかなった戦略です。

目的は将来をイメージすること

3C分析で気をつけて欲しいのは、分析自体が目的ではないということです。いくら詳細に分析したところで、株式投資で成功する確率が上がるわけではありません。分析は、あくまでその会社を立体的に見るためのものです。

最も重要なのは「会社の現状を正確に把握し、その将来をイメージすること」です。フレームワークはそのための手がかりにすぎません。お弁当に例えるなら、フレームワークは弁当箱です。そこに何を詰めるかは、あなたの努力と想像力にかかっています。ぜひ株式投資を楽しんでください!

160316_3C分析

※「株式投資で使えるMBAの知識」はまだまだ続きます。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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