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元中日ドラゴンズ監督・落合博満氏の著書「采配」を読みました。監督として中日を常勝軍団に作り変えた氏の考え方は、投資においても示唆に富むものばかりです。
特に気に入ったのが、以下文言でした。
私は中日ドラゴンズの監督に就任してから、ずっと投手力を中心とした守りの安定感で勝利を目指す戦いを続けてきた。なぜなら、投手はある程度の計算ができるのだが、打撃力は「水もの」と言われているように、10点を奪った翌日に1点も取れないことが珍しくないからだ。
どんな強打者を集めても、何試合も続けて打ち勝っていくことは至難の業である。だからこそ、優勝への近道として投手力を押し出した戦いをしていく。
打者出身の私の考えとしては意外に思うかもしれないが、これは私の好みではなく、勝つための選択なのだ。
落合博満『采配』―「負けない努力」が勝ちにつながる
これを読んだ時にはっとしました。この考え方は、まさにバリュー株投資の考えと一致していたからです。
投資は「運」から逃れられない
株式投資では、多くの人が「どの銘柄が上がるか」ということばかり気にしています。しかし、実際に上がるかどうかはどうしても運の要素がつきまといます。
短期の株価は人の心理の動きによって左右される「ランダムウォーク」ですから、予測は極めて困難です。
それが長期になるほど、利益や財務状況など、企業のファンダメンタルズに収束してきます。しかし、このファンダメンタルズについてすら、将来がどうなるかを正確に予測することはできません。
IBMへの投資に代表されるようにウォーレン・バフェットですら度々撤退を余儀なくされています。大半の「プロ」とされている人も間違うのですから、一般の投資家は言うまでもありません。
失点をコントロールせよ
プロ野球にしても、3割打てば一流とされます。これは逆に言えば、10回打席に立てば7回は凡退しているということです。落合氏が「水もの」と言うのもよくわかります。
投資にしても、大きく伸びる会社は10社のうち3社もあれば上出来でしょう。私たちは全ての株が成功するわけではないことを前提に戦略を考えなければならないのです。
10社に均等に投資したとして、3社が2倍、残り7社が横ばいなら、ポートフォリオのリターンは30%になります。凄腕の投資家は大化け株をたくさん取っているように見えますが、現実はこのような感じです。
一方で、残り7社がのうち3社が半値になってしまったとしましょう。すると、ポートフォリオのリターンは15%に沈んでしまいます。いくら良い銘柄を掴んでも、守りを固めないとリターンを大きく目減りさせてしまうのです。
野球に例えると、いくら打ちまくって10点とっても、投手がガタガタで11点取られたら負けてしまうのと同じです。しかも、10点取った翌日に1点も取れないことも珍しくありません。
勝つためには、失点を減らさなければなりません。野球と同じように、投資でも失点を減らすことは、得点を増やすことよりも確実にできます。バリュー株投資は、この「守り」に焦点を当てた投資だからこそ、確実性・再現性が高いのです。
勝ち続ける投資家になるための技術
失点をコントロールするためには、以下のようなことを重視しなければなりません。
- 業績が不安定な企業を買わない
- 高すぎる株価の企業を買わない
- ダメな企業は適切に損切りを行う
イケイケの相場では、大きく伸びる銘柄に支えられて守りに意識が向きませんが、今のような下落相場になると、下がる銘柄はとことん下がります。守りに目が行っていないと、長期で見た時の運用パフォーマンスを大きく下げる結果となってしまうのです。
勝ち続ける投資家は、自らの資産を守るための行動を必ず身につけています。長い目で見れば、大化け株を見つける能力よりもはるかにこちらのほうが重要になってくるのです。
バフェットも次のように言っています。
ルール1 絶対に損をしないこと。
ルール2 ルール1を絶対に忘れないこと。
まず守りを固め、次に将来大きく伸びる可能性のある銘柄に焦点を当てる。これをしつこく続けることで、あなたのパフォーマンスも必ず向上するでしょう。
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