Appleが史上最高値を更新し、バフェットは+80%のリターン!減収減益でも株価が上がるのはなぜなのか?

つばめ投資顧問では相場情報を毎週発信しています。更新情報を受け取るには、記事下のフォームから無料メルマガ登録を行ってください。

米国株が好調です。11月1日にはハイテク銘柄中心に構成されるナスダック平均が史上最高値を更新しました。S&P500指数も最高値、ダウ平均も高値圏で推移します。

ナスダック指数(出典:Bloomberg)

注目すべきは、いずれの指数でも高い割合を占めるApple(AAPL)の株価です。過去最高値を更新し、指数上昇の原動力となりました。

【出典】Google

米国株の上昇を牽引するAppleの恐るべき強さ

同社は10月30日に決算を発表しました。その結果は「減収減益」。それでも最高値を更新するとはどういうことでしょう。

一つの理由は、業績が市場予想を上回ったことです。米中貿易戦争の煽りを受けて、中国での販売低迷が懸念されたことから市場は慎重に見ていました。事前のハードルが低かったことが「ポジティブサプライズ」を生んだのです。

もう一つの理由は、決算の内訳にあります。以下のグラフがカテゴリー別の売上高です。

主力のiPhoneは14%もの減収になっています。これは世界的なスマートフォン売上高成長率鈍化とリンクしています。ピークは超えたと見て良いでしょう。

一方で、それを補っているのが「サービス」や「ウェアラブル等」です。特に注目に値するのが、「サービス」カテゴリーです。これは、iCloudや音楽、ニュースなどのサブスクリプション(定期購読)ビジネスを指します。

Appleと言えば、iPhoneやMacなど、物を作って売るハードウェアの会社でした。世界中の人々がスマートフォンを持つことで爆発的に成長しましたが、限界もあります。実際に、iPhoneの売上高は減少に転じました。

しかし、Appleはすでに先手を打っていました。それこそが、「サービス」カテゴリー、すなわちソフトウェアだったのです。

Androidと異なり、あえてOSをオープンにせず囲い込みを行いました。その先にあったのが、クラウドや音楽です。スマートフォンを持ち続けると、やがてデータや音楽を常に持ち運びたくなります。

それらのサービスを「サブスクリプション」という形で提供すれば、多くの人は端末にあらかじめ入っていて、便利なAppleのサービスを利用するようになるのです。

これぞまさに、他者を寄せ付けない「経済の堀」の典型です。iPhoneを単なる物売りで終わらせず、消費者がもはや手離すことのできない「相棒」として課金させ続けることに成功したのです。

最近では、カメラやワイヤレスイヤホン(AirPods)の性能もグングン向上させています。カメラが高画質になればデータ容量は増えますし、イヤホンが進化すれば音楽を聞きたくなるでしょう。

こうしてハードからソフトへ、そしてまたハードへと無限の消費ループを生み出しているのです。

サービスには原価がかかりません。たとえ売上高が減少しても、利益率は大きく向上していくでしょう。つくづく恐ろしい会社だと感じます。時価総額世界2位はやはり伊達ではありません。

バフェットはApple株ですでに80%のリターン。なぜ買えたのか?

Appleに前々からベットしていた著名投資家がいます。言わずとしれたウォーレン・バフェットです。

2016年から本格的に同社株を買い続け、現在ポートフォリオの24%を占める筆頭銘柄となっています。

平均取得単価が141ドル、現在の株価が255ドルと、すでに80%ものリターンをあげています。これだけ大きな銘柄を、ポートフォリオの1/4まで買い増してこれだけのリターンを出せるのはとんでもないことです。

バフェットがAppleを本格的に買い始めたタイミングでは、実は多くの投資家がAppleを評価していませんでした

スマートフォン市場の拡大には限界が見え、成長力に衰えが見え始めていたからです。性能の進化も止まり、消費者の買い替えサイクルは長期化するだろうと考えました。

一方で、その頃のPERは12~13倍程度に据え置かれていました。バフェットはその割安さに目をつけたのです。安くなった時にどんどん買い入れ、あとはひたすら待っていました。それが、3年経った今大きく花開いているのです。

バフェットがアップルへの投資を決めた理由

2016.05.17

バフェットがこの未来をどこまで予想できていたかわかりません。ただ、「『経済の堀』を持つ優良な銘柄を、割安なタイミングで買う」という原則に忠実な取引を行っていたことは間違いありません。

AppleTVなど新たなサービスも始まり、今後ますます「サービス」カテゴリーの拡大を図ってくるでしょう。強力な「経済の堀」がどこまで収益を拡大させるか、これからも注意深く見守っていきたいと思います。

Print Friendly, PDF & Email

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

コメントを残す

Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

  • 【LIXIL】配当利回り4.75%の裏にあるヤバい現実
    LIXILは住宅設備の最大手である LIXILの中核事業会社、株式会社LIXILは、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカーのトステム...
  • REITの利回り4.65%!今買うべき?
    今、株式市場で流行っているものといえば半導体株です。 半導体株が上昇し、それにつられて日経平均株価も上昇しています。 しかし、今、半導体に投...
  • 日の丸半導体ルネサス 時価総額6倍は達成可能か?AI半導体ブームに隠れたリスク
    ルネサスは、日本を代表する半導体製造メーカーであり近年業績を拡大させています。 一方で、2010年代の初頭は赤字が続く厳しい時期もありました...
  • 【ソフトバンクグループ】株価急上昇!今からでも買うべきか?ARMの成長はどこまで続く?
    今回はソフトバンクグループについてです。 ついに株価が上昇してきましたが、その背景にはかつて3.3兆円で買収したARM
  • 【さくらインターネット/住石ホールディングス/三井E&S】売るべきか買うべきか
    今回は「仕手株の流儀」についてお話します。 最初に断っておきますが、つばめ投資顧問では仕手株を推奨していま...

Article List - 記事一覧Article List

カテゴリから記事を探す