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ドナルド・トランプが次期大統領に決まり、市場が活況を呈しています。それはアメリカだけにとどまらず、日本株にも及んでいます。特に大きな上昇を続けているのが銀行株で、中でも三菱UFJ(8306)が顕著です。
上がる理由は「アメリカ戦略」にあり
メガバンク3行の中で、三菱UFJの大統領選挙後の上昇率は他を大きく引き離します。
11/8(選挙前) | 11/18 | 上昇率 | |
三菱UFJ(8306) | 533 | 662.2 | 24.2% |
三井住友FG(8316) | 3,573 | 4,116 | 15.2% |
みずほFG(8411) | 175.7 | 197.1 | 12.2% |
その要因として挙げられるのが、同社のアメリカ戦略です。資金運用収益に占める海外の割合は50%を超え、その大部分がアメリカにおけるものです。
米国子会社のMUFGユニオン・バンクを傘下にしている他、モルガン・スタンレー銀行に22%を出資し、持分法適用会社としています。トランプ政権下での金利上昇や規制緩和による業績向上を期待した買いが進んだと考えられます。
マイナス金利で下がりすぎていた
三菱UFJは、今年の2月に導入されたマイナス金利の影響で大きく株価を下げていました。しかし私は、本来の価値に対して下がりすぎていたと考えています。
日本の金利はマイナス金利導入以前から相当低い水準が続いていました。そのため、マイナス金利はそれまでの前提を揺るがすような出来事ではなかったのです。
また、同社はマイナス金利以前から手数料ビジネスの強化や海外への進出を積極化させています。そのため、マイナス金利の影響は他の銀行に比べて小さいと言えるでしょう。
私は9月17日の会員向けレポートで三菱UFJを推奨しました。もちろんトランプ相場を予想していたわけではありませんが、本来の価値に対して割安だと考えていたのです。
本来の価値より割安な銘柄は、潮目が変わった局面で適正な水準に見直される「幸運」が訪れることが期待できます。それが当社の掲げるバリュー株投資の醍醐味です。
売りどきはいつか
さて、上昇を続けてきた三菱UFJの株価ですが、この先どこまで続くのでしょうか。
私はすでに適正株価に近い水準だと考えています。マイナス金利・低金利の影響が他の銀行に比べて小さいとはいえ、国内で銀行業務を行っている以上免れることはできません。インフレターゲットや膨大な国の債務がある限り、日銀が政策金利を大きく上げることはもはや難しくなっています。
また、銀行株は相場の下落局面において大きく下がる傾向があります。トランプ相場が実体経済を反映したものではない以上、市場は不安定な状況が続くでしょう。値動きの激しい銘柄を保有していることは、揺り戻しのリスクを抱えることになります。
世界経済が抱える最も大きなリスクは中国です。世界第2位の経済規模を誇る中国の景気後退が起きたとしたら、世界中の株式はそのインパクトから逃れることはできません。その際は、同社株は大きく下がってしまう可能性があります。
トランプ相場において、三菱UFJはそろそろ売り時と考えます。「最も悲観的なときに買い、最も楽観的なときに売る」のがバリュー株投資の鉄則です。
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