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ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、Amazon.com(AMZN)に投資したということです。
米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は2日、CNBCのインタビューで、自身が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)の株式を初めて取得したことを明らかにした。
2019年5月2日 ロイター
バフェットは以前もアマゾンに投資しなかったことを「後悔している」と発言していました。ここに来て満を持して投資に踏み切ったというわけです。
アマゾンのPERは65倍!高すぎるのでは・・・
ここで問題となるのが、アマゾンの投資指標です。PERは65倍、PBRは20倍です。一般的な「バリュー投資」の考えではとても買えない高値です。
しかし、バフェットはあくまでバリュー投資の範疇を外れていないと公言します。その理由を、私なりに解釈してみました。
バフェットの投資手法は、企業が持つ「価値」よりも安い「価格」で購入し、持ち続けるというものです。価値とは、その会社が将来生み出すキャッシュ・フローの割引現在価値、簡単に言うと利益の総和です。
将来のことですから、誰にも正確なことはわかりません。したがって、機械的に求められる数値は存在せず、価値の算定には多かれ少なかれ分析者の主観が入ることになります。
これを補うのがPERやPBRです。不確実な未来のことではなく、より確実な過去や目前の未来の数値を用いて数字を示します。不完全な指標ではありますが、分析の出発点としては有効な指標です。
「利益を出さない企業」がついに利益を出した!
ところが、これらの指標があまり意味を持たない場合もあります。例えば、成長企業は現時点での利益が少なく、PERは高くなります。しかし、将来大きく利益が伸びるなら、多少PERが高かったとしても割高とは言えない場合があるのです。
アマゾンもこのような考え方で捉えることができます。同社は巨大でありながら「利益を出さない企業」として有名だからです。
しかしながら、最近は少しずつ利益を出すようになってきました。2018年の営業利益は2017年の3倍になっています。
これには、世界最大シェアを誇るクラウドサービス「AWS」が貢献しているのは間違いありません。
クラウドは、企業が一度導入してしまえば切り替えることが難しく(スイッチングコストが高く)、経済の堀が深いと言えます。事業の変動費も小さく、限界利益の大きなビジネスです。
デジタルの世界はデファクトスタンダードを取ることが競争を勝ち抜く要件ですから、クラウド事業の圧倒的なシェアは、バフェットにとって魅力的に映ったのかもしれません。
例えば、AWSの拡大でトータルの利益がさらに3倍に伸びれば、現在65倍のPERも22倍となり、決して割高ではないと見ることができます。成長企業の価値を見る時にはこのような観点も必要です。
「利益をもたらす期間」に着目せよ!
クラウド事業だけではありません。現時点であまり利益の出ていない小売ビジネスもバフェットやバークシャーのメンバーを惹きつけた可能性があります。
アマゾンがEコマースの覇者であることは、もはや論を俟たないでしょう。拡大を続けるEコマースの世界でこれだけの地位があれば、そう簡単に覆されることはありません。
「簡単には覆されない」ビジネスは、長期にわたって利益をもたらし続けます。そして、企業の価値は将来もたらされる利益の総和ですから、利益をもたらす期間が長ければ長いほど、価値は大きくのなるのです。
例えば、10億円の利益が10年続く企業の価値は100億円しかありませんが、30年続くなら300億円となります。つまり、前者の適正PERは10ですが、後者は30になるということです。(実際はもっと複雑ですが、説明のため単純化しています。)
アマゾンがEコマースの覇者であり続ける限り、利益をもたらす期間は長いと考えられます。もし今後30年同社がトップを走り続けるとしたら、現時点のPERが65倍でも決して割高ではないと言えるのです。
このように、利益をもたらす期間に焦点を当てれば、20年、30年先の未来を見据えた投資ができます。これでこそ真の長期投資と呼べるでしょう。
アマゾンへの投資から、長期投資の真髄を学ぶことにしましょう。
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