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「老後2000万円問題」を受けて、本当に考えなければならないことは「お金はいくらあれば足りるのか」ということです。
お金があれば取り崩すのは当たり前
2000万円という数字は、年金生活世帯の収入と支出の平均を引き算しただけにすぎません。ここから言えることは、平均的な年金生活世帯は取り崩すだけの資産があり、それを取り崩しているという当たり前の話をしているだけです。
この「平均」とは、以下のようなものです。
収入:21万円
支出:26万円
退職金:1700~2000万円
驚くことに、退職金の時点で約2000万円をもらっているのです。この人たち、すなわち今の年金生活世帯なら、現役時代の蓄えがなくとも退職金で2000万円は補えるということです。
もともと多少の蓄えがあるなら、退職金くらいは使ってしまうでしょう。お金は天国までは持っていけませんから、使ってしまうのが合理的です。
逆にこれで「足りない」と言っている人は、年金を貯金に回そうとしているのでしょうか。貯金するためのお金を年金として現役世代から搾取しようとしているのなら、それこそとんでもない話です。
インフレは高齢者に致命的なダメージを与える
実は、老後のお金に関する本当のリスクは、お金が尽きてしまうことうよりも「インフレ」と「想定以上の長生き」にあります。
ほとんど物価が上がっていない状況でインフレと言ってもピンとこないかもしれませんが、財政状況が悪く、経済もジリ貧の日本は、セオリー通りに言えば円安に伴う急激なインフレのリスクを抱えます。
急激なインフレになっても、現役世代はさほど困りません。物価が上がるのと同じくらいには給料が上がるからです。
問題は高齢者です。年金は急激なインフレほど上げる余裕はありませんから、実質的な給付額が急減します。かつてのロシアでこのような状況に陥り、高齢者は庭に作った畑の作物で食いつながなければなりませんでした。
これに対応するためには、老後のために蓄えたお金はインフレ耐性のある株や不動産、ドル(外貨)で保有することです。
しかし、定年後いきなり金融資産に手を出すほど危険なことはないので、現役世代は少しずつでも勉強し、悪い業者にだまされないリテラシーを身につける必要があるのです。
90歳の祖母がお金に困らず元気に生活できる理由
もう一つのリスクは、長生きしすぎるリスクです。
報告書のように赤字が続くとすれば、長生きするほど資産は目減りしますし、寝たきりや認知症になると多額の介護費用が必要となります。特に後者は、生きている限り終わらない支出です。
貯蓄を超える金額の介護が必要になると、子どもや孫にも迷惑をかけることになります。これは多くの人が避けたいところでしょう。
「長生きリスク」に対応するには、安定したインカムゲインの金融資産を持つことが解決策となります。安定したインカムゲインとは、株の配当や不動産です。これなら、資産を取り崩すことなく赤字を補填し続けることができます。
私の義祖父は生え抜きの税務署長でした。お金のことは熟知していたのでしょう。資産は株と不動産で持ち、自宅の前にアパートを一軒保有していました。
地方都市で2部屋しかないアパートですが、赤字を補填するには十分な家賃収入をもたらしてくれます。義祖父は亡くなりましたが、それを引き継いだ現在90歳の義祖母は、元気にお金に困ることのない生活を送っています。
これを見ても、やはり若いうちに「株式」や「不動産」の資産を作り、インカムゲインの基礎を固めることこそが人生100年時代を幸せに生き抜く秘訣だと思うのです。それには金額だけでなはなく、知識(リテラシー)も含みます。私はそう考える人を正しい道に導ければと願っています。
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