株式投資初心者に伝えたい30のこと

銘柄選定編

どの銘柄を選ぶべきかについて話してみましょう。
銘柄選定において、特に長期投資にフォーカスした視点をお伝えします。

11.普通の銘柄で良い

まず、大切なことは、普通の銘柄で充分だということです。
奇抜な銘柄や冒険的な投資を追求する必要はありません。
有名な銘柄であっても問題ありません。
一時的な価格の変動はあるかもしれませんが、長い目で見れば、それらの銘柄も成長し続ける可能性があります。
例えば、ユニクロのファーストリテイリングのように、過去にブームになった銘柄でも、現在でも安定的な成長を続けているものがあります。
長期的な視点で考えると、このような銘柄に投資することは、十分に合理的な選択です。

特に長期投資の場合、極端に高値でない限り、これらの知名度の高い銘柄に投資することに躊躇する必要はありません。
リスクを冒して理解しづらい銘柄に手を出すよりも、こういった知名度の高い銘柄が安定感があることを覚えておくと、投資判断に役立つでしょう。

12.パクるのは「あり」

他の人からアイデアを取り入れることは、私にとっても大いにありだと思います。
ただし、私もイナゴはダメだと思っています。
「イナゴ」とは、上昇中または煽られている銘柄に無差別に投資することを指します。
株価の単なる動きに追随することは好ましくないと思いますが、一方で、優れた分析を行っている人々から学び、そのアイデアを参考にすることは価値があると考えます。

私は、長期投資において、柳下さんという方をフォローしており、そのような専門家の意見を重視しています。
また、投資信託についても、同じような考え方を持つ信託を参考にすることがあります。
彼らはプロとしてしっかりと分析を行っており、その分析結果から銘柄を選定することは合理的です。

ただし、他人のアイデアを採用する場合でも、それを自分自身のものにすることが重要です。
他人が売るタイミングを追随するだけでなく、その銘柄について自分なりに理解し、なぜそれを選んだのか、売ったのかを把握することが大切です。
他人のアイデアを参考にしつつ、自分自身が判断し、学んでいくことが、長期的な成功への道だと考えています。

13.本当に良い銘柄は下がらない

さて、次に重要なことは、本当に良い銘柄は下がらないということです。
例えば、コロナショック時にも、それまでに注目していた銘柄がありました。
私はできるだけ低い価格で購入したいと考え、そのような銘柄が下がることを期待していました。
確かに、市場全体が下落することがあっても、これらの銘柄は本当にわずかな下落しかありませんでした。その後、これらの銘柄はむしろ上昇し続け、当時買わなかったことを後悔しています。

良い銘柄だと思った場合、その銘柄が下がらないのであれば、その瞬間に購入することが良いと思います。
もちろん、下がることがあれば買いますが、大幅な下落を期待することは避け、少しでも下落があれば購入することを検討します。
下がらないということは、逆に安心感をもたらすことがあります。
いい銘柄を見つけたら、遠慮せずにその瞬間に購入する姿勢が重要です。

14.下がったあとは「良い株」から上がる

良い株は下がらないということと連動しますが、下がった後に上がる銘柄はその後の市場を引っ張る役割を果たすことが多いです。

15.「出遅れ株」を探すくらいなら「先導株」を買え

出遅れ株を探すよりも、同じテーマの先導株を購入する方が、長期的な観点からも有益である可能性が高いと思います。

16.割安なものには罠

一方で、割安な銘柄を見つける場合、その銘柄が割安に評価されている理由を徹底的に調査することが重要です。
バフェットが商社株を購入した例のように、割安の背後にある合理的でない理由を見抜くことが、成功のカギとなることがあります。
しかし、これを見抜くことは簡単ではないため、慎重に調査することが必要です。
割安な銘柄には注意が必要であり、その中にはリスクが潜んでいることもあることを覚えておきましょう。

17.自分の目を信じること

銘柄選定において、自身の直感を信じることは非常に重要です。
街で企業や商品について良いと感じる場合、それは信頼性のある情報です。
なぜなら、株式投資は企業の成功に関連しており、消費者がその商品やサービスを支持することは、企業の良さを示す一因となります。

最近、私もこの考え方を実感しました。
例えば、3coinsは実際に店にお客さんが多く、その結果、株価が上昇しています。
アナリストの意見や評価も大切ですが、自分自身が信じることが何よりも重要です。
証券会社のアナリストは企業情報を提供しますが、これは二次情報であり、自分の経験や感覚に基づく一次情報とは異なります。
消費者としての視点は、企業や商品の実際の魅力を理解するために非常に価値があります。
自分の感覚がアナリストの情報よりも役に立つことが多々あるのです。

リスク管理編

18.天井3日底100日

これは株式の特性の一つと言えますが、「天井3日底100日」ということです。
株式投資では、なかなか上昇しない期間が非常に長いことがあります。
これは「敗者のゲーム」という本でも触れられています。

株価が上昇するのは100日のうち3日ほどです。
この3日を見逃すと、その後の上昇分はほとんど得られないということになります。
逆に言えば、100日くらいは鳴かず飛ばずということです。
しかし、諦めてはいけません。
株価が上昇する瞬間を待ち続ければよいのです。

邱永漢さんという投資家も、「投資の利益は我慢料」と言っており、その通りだと思います。
必要なのは、上昇する3日を待つ忍耐力です。
この3日が訪れるまで、じっくりとポジションを保ちましょう。
その時が来れば、ついに報われ、幸せになることができるでしょう。

19.下がるときはとことん下がる

株価の特性として、下落時は非常に厳しいことがあります。
投資家心理が作用して、株価が下落すると絶望感が広まり、更なる売却が行われることがあります。
「落ちるナイフを掴むな」という格言がありますが、冷静さを保つことも重要です。
上昇の機会を待つだけでなく、下降時にも焦らずに待つことが必要です。

20.下落トレンドでの上昇は「幻」

下落トレンドでの上昇には注意が必要です。
これは私も経験したことがありますが、株価が急落した時にある銘柄が面白く見え、その銘柄が上昇すると、自分の考えが正しいと感じ、一部を購入することすらありました。
しかし、その後さらに下落し、結局は元の価格の半分ほどまで下落しました。

これには「デッドキャットバウンス」という言葉が当てはまります。
この言葉は、ダメになってしまった銘柄であっても、下落局面の途中で一時的に上昇することがあることを指します。
しかし、この上昇は実態が改善したからではなく、市場心理や取引の動きによるものです。
通常、下落した銘柄には一部の投資家が空売りを行うことがあります。
銘柄が一定程度下落すると、これらの投資家は利益確定を試みるために買い戻しを行います。
この買い戻しによって株価が一時的に上昇することがありますが、実態は変わらず、再び下落する可能性が高いのです。
ただし、一部の例外では、これが大底になることもあります。
この状況は通常、相場全体ではなく、個別の銘柄の不祥事や特殊な要因に関連しています。
したがって、このような現象に惑わされないように注意が必要です。

21.重要なのは「損切り」

損切りは非常に重要です。
皆さんには、投資家として成長するために、損切りの重要性を肝に銘じていただきたいと思います。
最初に買った銘柄が必ずしも良いものとは限りません。
むしろ最初に買った銘柄を詳しく見ていくうちに、その銘柄の長所と短所が明らかになります。
多くの銘柄を見ていると、自分の中でどれが優れているかがわかってきます。
優れた銘柄を見つけたら、明らかに劣る銘柄を保有し続ける理由はありません。
より良い銘柄にシフトすることが重要です。

例えば、ウォーレン・バフェットでさえ、1994年から200銘柄以上に投資して、そのうち約150銘柄を売却しています。
その多くは損切りであり、多くの銘柄に挑戦し、成功しなかった場合は他の方向に進む柔軟性が必要です。
これが、投資家として成長する方法なのです。

ただし、人々は心理的な理由から損切りをすることが難しいことがあります。
この心理的な障害を克服することが、投資家としての成長に不可欠です。
ですので、皆さんには損切りの重要性を心に刻んでいただき、投資家としての成長を目指してほしいと思います。

(次ページ 「情報源編」

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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