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ウォーレン・バフェットは世界で最も有名な投資家と言っても過言ではなく、その投資手法により世界第3位の大富豪に上り詰めました。しかし、その本当の投資哲学はあまり知られていません。
投資手法は他人から学んだ
バフェット自身は、自分の投資手法についてあまり多くを語っていません。なぜなら、バフェットの投資手法は自分で編み出したものではなく、かなりの部分が他人から学んだことだからです。
彼自身、自らの投資手法について「85%はグレアム、15%はフィッシャー」と言っています。
上記の記事にもある通り、グレアムは「バリュー投資の始祖」と呼ばれ、徹底して保守的な投資にこだわりました。一方のフィッシャーは、厳選された優良銘柄を持ち続ける「成長株投資」提唱し、お気に入りのモトローラ株を生涯持ち続けました。
シケモク投資から永久保有銘柄へ
バフェットは、駆け出しの頃にグレアムのもとで働き、バリュー投資に基づく投資哲学を学びました。それまでチャートなどありきたりな手法を使ってきた彼にとって、「事業そのものを買う」ことを徹底するグレアムとの出会いは成功の入口になったようです。
独立してからは、大きく売り込まれた銘柄に投資を行う典型的なバリュー投資で成功を収めていきます。グレアムの教えを忠実に守ったことが功を奏したのです。
その手法は、簡単に言えば「40セントで売られている1ドル札を探す」ということです。企業の内在的な価値を見積もり、それよりも低い価格で取引されている銘柄への集中投資を行いました。
転機となったのが、今は投資会社として形を変えて自身がCEOを務めるバークシャーへの投資です。
当時のバークシャーは繊維企業であり、米国では日本などに押されて斜陽産業となりつつありましたが、バフェットはあまりに安すぎると考えて投資を行いました。その後徐々に買い増して、最終的にバフェットが経営権を握ります。
しかし、自らが経営権を握った後も時代の流れには勝てず、バークシャーへの投資は失敗に終わってしまいます。これを機に、バフェットの考え方は大きく転換しました。
バークシャーへの投資を、バフェットは反省を込めて「シケモク投資」と呼びます。シケモクとは吸いかけのたばこのことであり、タダ同然で手に入るのにわずかでも価値のあるもののことです。
しかし、シケモクを買ったとしても、その会社の事業には幾つもの困難が立ちはだかります。台所に1匹ゴキブリがいれば他にもたくさんいるのです。そのような銘柄を持っていても、上がるどころか大きく下がるリスクを常に抱えることになります。
バークシャーでの失敗から、バフェットは「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うことの方が良い」という教訓を学びます。
それ以降、シケモク投資を脱却し、フィッシャーが掲げるような「永久保有銘柄」を探すようになります。そうして見つけたのがコカ・コーラやウェルズ・ファーゴなのです。
最高のビジネスが解決可能な問題に直面した時こそ買うべき
ここまで書くと、バフェットはバリュー投資を卒業し「優良銘柄探し」にいそしんでいるようにも見えますが、実はそうではありません。
リーマン・ショック時には危機に陥ったゴールドマン・サックスを格安な価格で救済したり、つい先日も破たん仕掛けたカナダの住宅ローン会社に出資するなど「売り込まれた銘柄」への投資になお余念がありません。
バフェットの言う最も良い投資とは「最高のビジネスが一度きりの、非常に大きいけれど解決することができる問題に直面した時」なのです。私もこの考え方に賛同し、そのような銘柄を探し続けています。
何も難しく考える必要はありません。バフェットが強調するのは「簡単なことをやれ」という教えです。自分が良く理解できていない2メートルのハードルを超えようとするのではなく、間違いなく飛び越えられる30センチのハードルを越えていけばいいのです。
しかし、それに反して多くの投資家は簡単ではない数多くの銘柄に手を出し、自分でもよくわからないままに失敗を繰り返します。バリュー株投資家である以上、そのような間違いは決して犯してはいけません。
もっとも、バフェットですらこの投資哲学にたどり着くまでにたくさんの失敗を繰り返しています。大切なのは失敗を隠したり取り戻したりしようとせず、失敗は失敗と認め、同じことを繰り返さないことです。だからこそ、会社の名前は失敗した投資先であるバークシャーのままにしているのだと思います。
バフェットは自ら本を出していません。書店に並んでいるのは他の人が書いたものであり、今ひとつ迫力に欠けます。唯一彼が筆を執っているのが、バークシャーの株主に宛てた年次報告書の文章であり、それをまとめた『バフェットからの手紙』という本が出版されています。この中で、特に「第2章ファイナンスと投資」は一読をおすすめします。
※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。
プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
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