レーザーテックの決算発表はどうなる?なぜ株価を下げているのかについても解説

「レーザーテックの決算発表が1月31日にあるけど株価はどうなるんだろう」と気になりますよね。
また一時期株価は大きく成長したけど、いまは下げていて「これからの見通しについて知りたい」と思っている人も少なくないと思います。

そこでつばめ投資顧問が、1月31日に発表される2025年第2四半期決算を見通す際のポイントについて解説します。
また、現在株価が下落している理由やレーザーテックの将来性についても紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。

レーザーテック 急成長の光と影

レーザーテックとはどんな会社?

レーザーテックの決算発表を見通す前に、どんな会社なのか再確認しておきましょう。

ここでは、レーザーテックを知るために以下のことについて解説します。

  • レーザーテックはどんな商品を売っているの?
  • レーザーテックの強み

それぞれ解説していきます。

レーザーテックはどんな商品を売っているの?

レーザーテックは、マスクの欠陥検査装置を作っている会社です。

まずは、マスクについて解説します。

マスクとは、半導体を製造するときに必要な部材のことです。

半導体を製造するとき、マスクを通して光を照射しウエハーに電子回路を形成します。
ウエハーに電子回路が刻まれますが、回路の原盤のようなものをマスクといいます。
イメージとしては、マスクがハンコのようになっていてウエハーに電子回路を刻むような感じです。
マスクに欠陥があると、適正ではない電子回路がウエハーに形成されるためすべて不良品になってしまいます。
そのようなリスクを予防するための欠陥検査装置を、レーザーテックは製造しています。

上の画像は、レーザーテックが作っている欠陥検査装置です。

レーザーテックの強み

レーザーテックの強みは、世界で唯一最先端のマスクの欠陥検査装置を作っていることにあります。
マスクを製造する際は、回路を掘る前と掘った後に欠陥検査装置での検査が必要です。

レーザーテックの装置で検査している半導体はEUVマスクと呼ばれる最先端のもので、画像のようにマスクは層になっています。
この最先端のマスクを検査するには、これまでの検査技術とは比べものにならないほどの高度な技術が必要です。
そんなハイテクノロジーな検査装置を、レーザーテックだけが世界で唯一製造していることが大きな強みです。
なお、現状ではレーザーテックの欠陥検査装置がないと最先端の半導体は作れない状況と言えます。

 

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レーザーテックの決算を見通す際に注目するポイント

レーザーテックの2025年第2四半期決算は、1月31日に発表されます。
ここでは、決算内容を見通すときに押さえておきたいポイントを紹介します。
前提として、レーザーテックが恩恵を受けるタイミングについてはじめにみておきましょう。

レーザーテックの売上が大きくあがるタイミングは以下のとおりです。

  • 最先端の半導体の需要が増えたとき
  • 最先端の半導体の製造ラインを立ち上げるとき

これらを踏まえて、決算を見通す際に注目するポイントを解説していきます。

iPhoneの売れ行き

最先端半導体の、一番の使い道はiPhoneです。
最新のiPhone16などに、最先端のチップが含まれています。
iPhoneの売れ行きがよくなる見込みが立つと、最先端の半導体の需要が増します。
このことから、iPhoneの売れ行きが好調だとレーザーテックの売上が伸びると言えるでしょう。

また、iPhoneの売上や期待感をリサーチすることはとても重要です。
もしiPhoneの売れ行きがよくなさそうだと、顧客企業は半導体の製造に関する設備投資を躊躇してしまう可能性がでてきます。
そうなると、レーザーテックの新規の受注が弱含むことになりかねません。
そのため、レーザーテックの業績を予測するときiPhoneの売り上げ動向をチェックしておくことも重要です。

レーザーテックの主な顧客

主な顧客はTSMCやインテル、サムスンです。

このような半導体を製造している工場を持つ会社が、欠陥検査装置を購入します。

地域別でみてみましょう。

国ごとの、有名な半導体企業は以下のとおりです。

台湾 TSMC
韓国 サムスン、SKハイニックス
米国 インテル

 

これらの会社の受注を受けて、レーザーテックは欠陥検査装置を製造します。
そのため、ここで紹介した顧客企業の調子とレーザーテックの業績は少なからず関係があります。

特に注目しておきたいのが、設備投資動向です。

TSMCの設備投資動向

地域別売り上げを見ると、台湾がレーザーテックの売上を引っ張っていることがわかります。
そこで、TSMCの調子に注目しておくことも、1月31日にあるレーザーテックの決算を見通す上で重要です。

まずは、TSMCの設備投資動向を確認しましょう。

1月16日に発表されたTSMCの予想では、2025年の設備投資予測は前年比の40%増の見込みとされています。
このことから、TSMCの目先の調子は好調といえるでしょう。
ちなみにレーザーテックの業績を見通す場合、顧客企業の業績というより設備投資動向を確認します。
なぜならTSMCの売上が立っているということは、すでにレーザーテックの業績には反映されているからです。
そのためレーザーテックの業績予測をする場合は、将来の設備投資動向を確認します。

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レーザーテックの直近の業績

ここでは、レーザーテックの直近の業績についてみていきます。
直近の業績を観察すると会社の特徴や調子がわかるため、今後の見通しを立てやすくなります。

ここでは以下のことについて解説していきます。

  • レーザーテックの直近の売上動向
  • レーザーテックの直近の受注高
  • 直近の営業利益は40%

それぞれ解説していきます。

レーザーテックの直近の売上動向

 

これが、レーザーテックの四半期ごとの売上動向です。
レーザーテックの業績は長期でみると右肩上がりに成長していますが、四半期ごとではばらつきがあります
理由としては装置の価格が1台当たり約100億円と大きな金額ですが、売上として記録される納品時期は顧客の都合でコントロールできないからです。
そのため、短期的な業績を読むのは難しい企業であると言えます。

レーザーテックの製品別売上も見ておきましょう。

水色から上の部分が、最先端向けの欠陥検査装置の売上です。
レーザーテックの売上の約7割を占めています。

レーザーテックの直近の受注高

受注高でみると、半導体関連装置の受注は過去最高です。

2025年1Qからは受注高の開示はされなくなってしまいますが、2025年1Qの受注が弱含んでしまった可能性があると報道されています
2025年1Qで受注が弱含んでいるという噂は、恐らく最新iPhoneの需要がひと段落したことによるものでしょう。
つばめ投資顧問は、受注高に影響を与えるものとして買いたくなるスマホがでるのかがとても重要だとみています。
これまでとは違う新たなコンセプトの製品が出ると、最先端の半導体の需要が増加しその時にレーザーテックは大きな恩恵を受けると予想しています。

直近の営業利益は40%

レーザーテックの、直近の営業利益率は40%です。
高利益率の理由は、レーザーテックの欠陥検査装置がないと最先端の半導体が作れないという1社独占状態になっているからです。
売上動向の節でも解説しましたが、レーザーテックの欠陥検査装置は一台当たりの値段が100億強と言われています。
100億を超える高額な装置でも需要があるため、このような高い利益率をだせています。

レーザーテックの株価はなぜ下落している?

レーザーテックの株価は、2025年1月現在下落しています。

株価下落の理由の1つとして、スコーピオン社から不正会計が疑われていることが要因の1つと考えられます。
スコーピオン社とは、アメリカの空売り専門のファンドです。
レポートの内容としては、公表しているほどの受注がないのではと疑われています。
その内容を懸念した投資家たちが、株を売却しているのが株価下落理由の1つとしてありそうです。
レポート内容に関してつばめ投資顧問は、レーザーテックは不正会計ではないと考えています。
会計の観点から見るとスコーピオン社のレポートは正しいことを述べているように見えますが、商流の流れでみるとおかしな流れではありません。
レーザーテックの欠陥検査装置は、外部委託で製造しています。
顧客企業から受注を受けて納品するまでの、リードタイムは約2年です。
その長いリードタイムがある中で、レーザーテックの欠陥検査装置の需要が一気に増えました。
仕掛かり品という最終製品を組み立てるための部材が、会社の中で長い間滞留してしまうことは仕方ないことだと考えます。
そのため、不正会計ではない可能性が高いとみています。

レーザーテックの真実―スコーピオン「空売りレポート」の中身とは?

レーザーテックの将来性を長期投資の観点から解説

レーザーテックの調子に大きく影響することは、買いたくなるスマホが出てくるのかです。
ただそれがいつになるのかわかりません。
目先のことがわからない企業は、長期でみることが大事です。
そこで長期的な目線で、レーザーテックを見るとき重要になってくるのが以下の内容です。

  • 最先端の半導体に将来性はある?
  • レーザーテックの競合は?

それぞれ解説します。

最先端の半導体に将来性はある?

つばめ投資顧問は、最先端の半導体には将来性があると考えています
半導体を微細化していくことに限界が見えはじめている見方もありますが、それでも半導体の進化は続くとみています。
なぜなら生成AIの登場によりデータセンターが増えていきますが、それに伴い消費電力の問題がでてくると予想されるからです。
データセンターとは、AIサービスを提供するためのシステムやサーバーを格納する施設のことです。
基本的には、最先端の半導体になるほど消費電力を抑えられます。
データセンターが増え消費電力の問題がでてくると、最先端の半導体の需要が増えてくると考えられます。
またスマホの機能がAIによりさらにグレードアップしてくると、そこでも最先端の半導体が必要になってくるためです。
このことから、最先端の半導体は将来的にみても常に求められるものになると考えています。

レーザーテックの競合は?

現在、最先端の半導体に使われるマスクの欠陥検査装置のシェアは100%ですが需要が増すと競合がでてくると考えられます。
そこで一番の競合である、KLAの状況について見ていきます

出典:EE TIMES

KLAは欠陥検査装置を作っていますが、現状最先端の半導体に対応した装置は手掛けられていません。
ですが、2025年には最先端の半導体を検査できる装置をだすかもしれないと言われています。
これについてつばめ投資顧問の見解として、近々でKLAの欠陥検査装置が実装されることはないとみています。
なぜなら、レーザーテックの技術力や特許状況を見てもKLAとレーザーテックでは差があると考えるからです。
KLAは、自社で光学技術を磨いて培ったノウハウではなくM&Aなどで獲得してきた技術を応用して製造しようとしています。
対してレーザーテックは、元々存在してなかった装置を顧客企業の要望に応えるため研究開発を積み重ねて欠陥検査装置を作りました。
そのため、レーザーテックとKLAには技術や実績に差があると言えるでしょう。

またKLAからすると、欠陥検査装置ではなくもっと大きなところでシェアをとることを優先することが重要です。
このことから、レーザーテックの現状の地位がすぐに揺るがされる可能性は少ないと考えています。

レーザーテックは長期で買って良い銘柄なのか?

まとめ

今回はレーザーテックの2025年第2四半期決算を見通すときに、どのようなポイントを押さえるべきかについて解説しました。
特に押さえるべきポイントは、iPhoneの売れ行きと顧客企業の設備投資動向です。
レーザーテックは短期的な業績を予測するのが難しい会社ですので、長期的な目線で投資するにふさわしい企業だと言えます。
レーザーテックを長期投資の観点でみるとき、この会社の技術が将来必要になるのかといったところがポイントとなってくるでしょう。
レーザーテックに投資する方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

また、2月1日(土)午前10時にレーザーテックの決算についてのYouTubeライブを開催します。
レーザーテックや半導体について、深く知りたい方はぜひいろいろ質問してみてください。


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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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