バフェットの株主への手紙2024を解説!バフェットは商社株を買い増しか?

2025年2月22日に、バフェット率いるバークシャーハサウェイのアニュアルレポートが公表されました。

ウォーレンバフェットは日本の5大商社の株をすでに持っていますが、さらに買い増すことをアニュアルレポートで言及したとして報道されています。

そこでつばめ投資顧問が、アニュアルレポートを隅々まで読むと「本当に今後買い増していくの?」という怪しい点がありました。

この記事では、バークシャーハサウェイが今後本当に日本の5大商社の株を買い増すのかについて、アニュアルレポートの中にある株主への手紙を読み解きながら解説していきます。

また、バフェットからの手紙の中には、長期投資や人生に対する重要な示唆も含まれています。

そのことも含めてぜひ皆さんに、バフェットの株主への手紙を味わっていただきたいと思います。

バフェットが商社株の買い増しに意欲的だと報道があった

2025年2月23日、「米投資家バフェット氏 日本の大手商社5社の株式買い増しに意欲」との報道がありました

出典元:NHK「米投資家バフェット氏 日本の大手商社5社の株式買い増しに意欲

バークシャーハサウェイのアニュアルレポートの中で、個別具体的な企業に言及することは少ないです。

バフェットが保有しているアップルやコカコーラ、アメックスなどの大企業について触れることは時々あります。

ですが、バフェットのポートフォリオの中で大きな割合を占めているわけではない日本の商社について言及するのは珍しいです。

それほど、バフェットは日本の5大商社に入れ込んでいるのではないかと考えられます。

そこで「買い増しに意欲」と見出しにあることから、株主への手紙を読んでみると「本当に買い増す意欲があるのかな?」と疑問があったのでその点について解説していきます。

バフェットがS&P500をすべて売却!バフェットが現在保有している銘柄も紹介

バフェットの株主への手紙とは

ここでは、バフェットの株主への手紙とはなんのことなのかについて解説します。

また、バフェットの株主への手紙の入手方法も紹介します。

バフェットの株主への手紙とは

「バフェットの株主へ手紙」とは、同氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社のアニュアルレポートのことで、バフェットはここに自らの言葉で株主に向けたエッセイを記しています

アニュアルレポートとは、上場企業が投資家や金融機関に対して情報公開するためのIRツールです。

「年次報告書」とも呼ばれています。

有価証券報告書と似ていますが少し違い、社長のメッセージなどを自由に加えられます。

バフェットの株主への手紙の入手先

バークシャーハサウェイのアニュアルレポートの入手方法はGoogleの検索窓に「berkshire hathaway」と検索すればすぐにでてきます

検索結果に「Annual & Interim Reports」と書かれた以下の画面がでてきます。

この赤枠をクリックすると、バフェットの株主への手紙であるバークシャーハサウェイ社のアニュアルレポートにたどり着くことが可能です。

バフェットの株主への手紙は英語で書かれていますが、Google翻訳やChatGPTを利用すれば翻訳できますのでぜひご覧になってください。

米国市場はカジノ的!?「バフェットからの手紙」を読む

バフェットの株主への手紙2024を深掘りする

2024年の株主への手紙の内容は、以下のとおりです。

  1. 間違い ― 私たちはバークシャーでそれを犯してきた
  2. ピート・リーグル – 唯一無二の存在
  3. 昨年のパフォーマンス
  4. 驚きだ!重要なアメリカ記録が破られた!
  5. あなたのお金はどこに?
  6. 損害保険
  7. バークシャーは日本への投資を増やす
  8. オマハでの株主総会

ここでは、7章と5章について深掘りしていきます。

7章.バークシャーは日本への投資を増やす

7章の「バークシャーは日本への投資を増やす」では、日本について触れられています。

内容や発言の意図について、深掘りしていきます。

日本への言及について

7章のなかで、日本の商社株について言及している箇所をみてみましょう。

バークシャー自身と似たやり方で非常に成功している日本企業 5 社の株式を購入し始めてから、ほぼ 6 年が経ちました。5 社とは (アルファベット順で) 伊藤忠、丸紅、三菱、三井、住友です。これらの大企業はそれぞれ、さまざまな事業に権益を保有しており、その多くは日本に拠点を置いていますが、世界中で事業を展開している企業もあります。バークシャーが 5 社を対象に最初の購入を行ったのは 2019 年 7 月です。私たちは、これらの企業の財務記録を見て、株価の安さに驚きました

このように、バフェットは日本の5大商社について言及しています。

2019年を振り返ると商社株のPERは6~8倍程度でかなり割安にもかかわらず、配当利回りが4%と高利回りの株もありました。

このような状況だったことから、バフェットは日本の商社に目を付けたようです。

そこで、2019年に続き2020年にコロナウイルスの影響で下落している時さらに買い増していたと考えられます。

たとえば、三菱商事で言うならばこの2019年、2020年あたりの安いところで買い増してきたということです。

こう見ると、すでに利益を上げていることがわかります。

ところが直近で弱含んできているため、株主やアナリストから「商社株どうするの?」と声が上がってきていてそれに対して答えているのかもしれません。

またバフェットは、以下のように日本の5大商社に対して評価を述べています。

定期的に彼らの進捗状況を追っています。私たちは 2人とも、資本配分、経営陣、投資家に対する姿勢を高く評価しています。5社はいずれも、適切な場合には配当を増やし、適切な場合には自社株を買い戻しており、経営陣の報酬制度は米国の同業他社に比べてはるかに控えめです。

米国は、経営陣に対して何十億という報酬を支払うのが普通です。

しかし、5大商社の経営陣の報酬はアメリカと比べて安いといっています。

ちなみに、バフェットの会社からの報酬は10万ドル程度(1,500万円)だと言われているので、それに対して共感を覚えたのではと思います。

7章の重要な点

元々バフェットは5大商社に対して、株式の保有比率が10%を超えるような投資はしないことを示していました。

理由としては、10%を超えて株を保有すると株主としての議決権を多く持ってしまい経営に影響を与えることになるからです。

日本の会社に口を出すのは、荷が重いと考えたのかもしれません。

そのようなこともあり、バフェットは直接5大商社のCEOに会って株を10%までしか保有しないことを伝えていました。

ところが、株価が下がってきたタイミングで保有率の限度を撤回する話がでてきています

当初からバークシャーの保有を各社の株式の 10% 未満に抑えることにも合意していました。しかし、この上限に近づくと、5 社は上限を緩めることに合意しました。

つまりこれは、保有限度を10%までだと話していましたが5大商社に対して強い投資意欲を持っていてさらに株を保有できるということを述べています。

これを受けて、バフェットは買い増しに意欲的だと報道が出たと考えています。

本当にバフェットが買い増すのかわからない

報道ではバフェットが買い増しに意欲的だと伝えられていましたが、株主への手紙をよく読んでみるとそうとも言い切れません。

株主への手紙のなかで、以下のことが綴られています。

時間の経過とともに、バークシャーの 5 社に対する所有比率がいくらか増加する可能性があります。

所有比率が「いくらか」増加する可能性と書いてあり、多く増加するわけではなく少しは増加するといった表現をしています

なぜか少し弱気なように感じられますね。

これを、原文でみると以下のように綴られています。

Over time, you will likely see Berkshire’s ownership of all five increase somewhat.

Over timeとはかなり長い期間を示していると思いますし、somewhatという「いくらか」を意味する言葉をつけています。

また、先ほどの文章を前との繋がりでみてみましょう。

5 社はいずれも、適切な場合には配当を増やし、適切な場合には自社株を買い戻しており、経営陣の報酬制度は米国の同業他社に比べてはるかに控えめです。

このようにありますが、特に「適切な場合には自社株を買い戻しており」という箇所がポイントになると思います。

つまりこれまでの話の裏を返すと、バフェットは5大商社に自社株買いを促すメッセージを株主への手紙でしている可能性があります。

ここまでの、株主への手紙の要点をまとめてみましょう。

  • あえて日本の商社について触れた点
  • 5大商社の株価が現在下落している点
  • 保有限度10%を撤回した点
  • 保有比率の増加率を「いくらか」といった弱気な点
  • 自社株買いについて触れている点

このことからバフェットは、暗に自社株買いで買い支えてほしいと各社に言っているとも取れます。

1つの視点ではありますが、つばめ投資顧問としては恐らくそうではないかと考えています。

以前三菱商事について分析した動画をだしましたが、現在外部環境はよくないです。

そもそも商社株には、成長を期待しているわけではありません。

割安かつ自社株買いをしていて、配当を増やしていることが投資家にとってのメリットとなります。

そのためバフェットも成長性というよりも安定性を求めており、自社株を買って今後も還元して安定的に運用することを期待しているようです。

5章.あなたのお金はどこに

今回のアニュアルレポートの中で、投資家へのメッセージとも取れる文章があったので紹介していきます。

また、バークシャーハサウェイのキャッシュポジションについても触れていたので紹介します。

多くの投資家へのアドバイス

バフェットは、5章のなかで多くの投資家へのアドバイスとも取れるようなことを述べています。

本当に優れた企業が丸ごと提供されることはめったにありませんが、これらの宝石のごく一部は、ウォール街で月曜から金曜まで購入でき、ごくまれに格安で販売されます。

バークシャーハサウェイは、上場企業への投資も行っていますが企業を丸ごと買う投資がメインです。

このことから、上場企業の株はいつでも買えるにもかかわらず、時々安く売られているため誰にでもチャンスがあることを伝えています

他に、このようなことも言っています。

非常に稀にチャンスにどっぷりつかっていることに気づくこともあります

チャンスにどっぷりつかっている時というのは、株価が大きく下落した時を指しています。

そのようなタイミングでもし買えるなら、かなり幸運であると言っています。

今回のレポートのテーマはMistake(間違い)です。

バフェットは上場株で何度も失敗した経験があり、都度間違いを認めてここまで大きくなりました。

そこで、投資での失敗についても綴られています。

「買収と違って市場性のある株式では私がミスを犯した時に方向転換するのは簡単です」

このように、流動性の高い上場企業の株であれば間違えたときに失敗を認めることで再チャレンジできることを伝えています。

キャッシュポジションについて

バークシャーハサウェイは、現金同等物が過去最高水準に増えているなどキャッシュポジションについてよく言われます。

多くの資産を現金化しているということは、「いまは投資のチャンスではないと見ているのでは?」という話ですね。

バフェットは、株価が下落した時に買った方が有利だとよくいっています。

一方で、暴落の時以外は現金で株を持っておけばいいのかという疑問に対してそれは違うと今回のアニュアルレポートでいっています。

以下の文章をみてみましょう。

一部の評論家が現在バークシャーの現金残高を異常なほど高いと見ているにもかかわらずあなたのお金の大部分は株式に残っています

あなたのお金というのは、バークシャーハサウェイの株主のお金のことです。

つまり、そのお金を「投資せずに現金で置いているのでは?」と疑問を持っているかもしれない投資家に対してそうではないと伝えています。

上場企業への投資は減ったが、未上場株に投資していると述べています

他にも、投資をする上で重要なことが綴られているのでみてみましょう。

優良企業の所有よりも現金同等資産の所有を優先することは決してありません。財政上の愚行が蔓延すれば、紙幣の価値は消え失せてしまいます。

現金は、インフレにより価値が目減りしてしまいます。

インフレによりモノの値段が上がると、実質的にお金の価値が下がっているといえるからです。

現にアメリカはインフレが進んでいますし、日本のインフレ率も上がってきています。

このことからも、現金で資産を保有しておくなら優良企業の株を買っておいた方がいいといえます。

いい企業の株なら少なくともインフレ率並みには、増えていくことが期待できるでしょう。

ここでは、現金よりもいい企業の株を持つことが資産運用では重要であると伝えています。

2025年暴落シナリオ!?バフェットが株を売るワケ

バフェットから株主への手紙2024で強調されていたこと

今回のアニュアルレポートのなかで、バフェットの後継者であるグレッグが株主への手紙を書く日も遠くないことが強調されていました。

また、8章の「オマハでの株主総会」の中でも、株主総会の質疑応答にバフェットとグレックで答えていくことについて言及しています。

バフェット自身も94歳なのでいつ引退になるのかわかりませんが、徐々に権限を委譲していくことが今回の株主への手紙で読み取れます

株主としては、今後もバフェットの投資に期待したいところですがどう動いていくのかはわかりません。

仮にバフェットの後継者であるグレックが、バフェットの方針を聞いて引き続き投資したとしてもバフェットの意向は少なからず薄れてくるでしょう。

やはりバフェットが動いたから投資するのではなく、自分で考えて投資することが大事です。

バフェットが株式を大量売却!暴落の予兆?

まとめ

今回のバフェットから株主への手紙では、かなり示唆的な話がありました。

なかでも、日本の5大商社株を買い増すのかはつばめ投資顧問の見解としては不確実性が高いと見ています。

また、バフェットは資産を現金で保有しておくより、優良企業に投資しておくのがおすすめであることをはっきりと言及していました。

他にも、バフェットはこれまで多くの失敗している経験から、大事なのは修正してやり直すことだとも言っています。

これらもまさに、長期投資の真髄ではないかと思います。

今回のバフェットから株主への手紙で、みなさまがさらに投資について考えるきっかけになりましたら幸いです。

このようにつばめ投資顧問では、長期投資に関して大事な情報を発信しています。

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この機会に、ぜひ読んでみてください。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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